「みんなの意見を聞いてほしい」とは

「みんなの意見を聞いてほしい」という人がいる。
少数ではない。
結構な人数である。
こういう人の心理をよく考えてみる。
自分に言わせると、
わたしの意見を採用してほしい」ではないのだろうか。
わたしの”を”みんなの”という形にして自分に矛先が向くのを回避する。
表現を曖昧にすることで責任を薄める。
”聞いてほしい”というのは本当だろうか。
聞いてもらうだけで満足する場合もあるが、自分の意見を”採用してほしい”という欲求の方が強いのではないか。

このような声を上げる人の多くは組織の上に立ったことがない。
児童会や生徒会、学級委員長や部活動の部長。
チームのキャプテン、監督。
地区の区長などなど。
こういう組織の長を経験したことがあれば、みんなの意見をまとめるのがどれだけ大変なのかを知っている。
組織というのは何かの目的を達成するために複数人が集まるものだ。
目的があるから目標が生まれ、その目標に向かって行動が起こる。
10人集まれば、10人それぞれ違った意見がある。
誰か(組織の長)がどこかで決断しなければ、話し合いさえ終わることはできない。
みんなの意見を反映しようとすると矛盾が生まれるのは常だ。
新しいことに取り組もうとすると、率先して取り組める人もいれば、現状のやり方がいいとか他のやり方がいいと言って前向きに取り組めない人が出るもの。
ネガティブにとらえる人は”自分の考えとは違う”というところに端を発しているのだろうが、結局は組織の目的を理解していないか、共有できていないということ。

本の中にこんな話があった。
夫婦で週末に出かけることにした。
夫は山へ行きたい。
妻は海へ行きたい。
決まらない。喧嘩になる。
仲直りする方法は?
目的や目標を再確認するということ。
夫婦で”休日を仲良く過ごす”ということが本来の目的(目標)。
山に行くとか海に行くというのは行動にすぎない。
目的や目標が明確になれば自分の意見に固執する必要は無くなる。
行動は単なる選択にすぎないから。
「今回は山に行こう」「次回は海に」とすればいいのだ。

みんなの意見を反映しようとして失敗したことがあるし、そういうリーダーのもとで痛い経験をしたこともある。
なぜうまくいかないのか。
リーダーとしてみんなの意見を採用すると、矛盾した中で進まなくてはならないから意思決定のスピードが遅い。
他との差別化もできずに、どこにでもありふれた仲間集団となり、途中で目標を見失うことも多い。
失敗した時には「みんなの意見を聞いたでしょ」といって責任を取らない。
「みんな頑張った」と言って一生懸命自分(達)を慰める。
でも、ほとんど何も達成できずに空虚感だけが残る。

目的や目標というのは多数決で決めるものではない。
企業であれば、その理念や方針に賛同して人が集まるものだ。
目標を達成するための行動、そこに至る道のりについては各個人の意見ややり方を反映すればいい。
そういう意味では企業では中間管理職は重要だ。
小組織の社長となるわけで、その役割を理解していないと組織運営はうまくいかないもの。

早く我社も同志の集団になりたい。
「給料が・・・」とか、「・・・・のに」とか、「・・・してくれない」という言葉が多く出るうちはまだまだ。